少し前の話ですが、大雨の中、上野で美術館を梯子しました。
「対決・巨匠達の日本美術」展は、ジャイアンツのスタメンを思わせる日本美術界四番バッター尽くしの豪華なラインナップ! 巨匠二人を対決させる、的な宣伝効果もよかったのでしょうか、中日で平日にもかかわらず、非常に多くの人が見に来ていました。 個人的な感想を、企画に乗っかり気味の対決方式で!
■運慶VS快慶 運慶のまったり感に快慶の緻密さ、この二作だけでの私的勝敗はドロー。 運慶は東大寺の金剛力士像が子供の頃から大のお気に入りでした。 ■雪舟VS雪村 国宝&重文が居並ぶ濃ゆいラインナップ。 教科書なんかでもおなじみの雪舟ですが、直に見るまで、こんなに凄い画家だとは思いませんでした…。もちろん雪舟の勝ち! ■永徳VS等伯 今回のお目当ては永徳の「檜図屏風」だったのですが、期待に違わず、戦国〜安土桃山の息吹を感じさせてくれる力量のある作品でした。 等伯の「松林図屏風」の展示が終わっていたのが残念。 エンタメ派永徳と心象派等伯、どっちもよかったのですが、趣味的に永徳の勝利。 ■長次郎VS光悦 最初は圧倒的に長次郎かなあ、と思っていたのですが、見ているうちに光悦の凄みにもひきつけられていく感じ。 当時の茶器って何か大きめで飲みにくそう、そういえば大谷吉継と石田光成の逸話でお茶を回し飲みするシーンがあったなあ、なんて関係ないこと考えました。。 勝敗はドローにしておきます。 ■宗達VS光琳 「風神雷神図屏風」対決が有名なお二方ですが、今回は最終週のみの展示だそうで見れませんでした(涙) 個人的には以前、京都の美術館で見たのですが、当時「上手いのは光琳、好きなのは宗達」とか思った気がします。 今回の展示作を見たイメージではドローかなあ。 ■仁清VS乾山 書画陶対決。どれもこれもがキュートで美しく、お家に一個欲しくなってしまいます。 繊細な仁清にダイナミックな乾山、どっちも良いけど…個人的にはやっぱ乾山がお好み。 ■円空VS木喰 仏像対決第二段ですが、ここに来ると、もはや芸術と宗教の対決というか…。 「仏像は神仏を表すためのものだ」という大前提にたてば、勝者は間違いなく円空、という事になるでしょう。 ■大雅VS蕪村 引きの美学、という感じでしょうか。 「わかんなくもないけど、趣味じゃないなあ…」と思ってみてたら、蕪村の「鳶鴉図」にはちょっとやられてしまいました。上手い…。 というわけで、蕪村に一票。 ■若冲VS蕭白 日本美術界のキ○ガイ対決! 恥ずかしながら蕭白のことをあまり存じなくて、若冲に並ぶ狂気の画家がいるものかなあ、なんて思ってたのですが、見事にいらっしゃいました(笑 若冲の「仙人掌群鶏図襖」、印刷などで見るとあまりのディティールに鶏が止まって見えるのですが、実物を見るとむしろ動き出しそうな生命感にあふれています。 蕭白の「唐獅子図」は圧巻!素晴らしいの一言!あまりに甲乙つけがたいのですが…あえて選ぶなら蕭白でしょうか。 ■応挙VS芦雪 大御所二人が虎の画で対決。おそらく当時はリアルトラが見れなかったんでしょうね。 精密なだけに、見れば見るほど「猫を見て描いたでしょ!」感が拭えない応挙様、どうせ見れないなら勢いで!の芦雪さん。 個人的には、水音が聞こえてきそうな「保津川図屏風」、なんとも生々しい「山姥図額」が素敵でした。 甲乙つけがたし、高レベルなドローということで。 ■歌麿VS写楽 これまでは圧倒的に写楽の方が好きだったのですが、いざ実物を見てみると、歌麿の作品の繊細さが写真や印刷には写ってなかったんだ、という事が良くわかりました。 デザインにインパクトのある写楽の方が潰れにくいんですねー。 写楽の、女形をあくまで女装した男、として描いちゃうセンスは、ちょっと他人と思えないところがあります。 今回は江戸時代の萌将軍、歌麿に一票。 ■鉄斎VS大観 現代日本画になってくると、個人的にはちょっと興味が薄れてきちゃいます。 大観「雲中富士図屏風」は…ぶっちゃけ、詐欺ですね(笑) 鉄斎の「富士山図屏風」は、日本昔話っぽいです。日本昔話の方が真似てるんでしょうが。 とか言いながら勝ち負けをつけるとなると、大観を勝ちって言っちゃうオレがいます…。
お腹はいっぱいだけど胸焼けする感じはない、なかなかよい展覧会だったと思います。 個人的ベストファイブを選ぶとすれば「四季花鳥図屏風」雪舟、「檜図屏風」狩野永徳、「唐獅子図」曽我蕭白、「鳶鴉図」与謝蕪村、「慧可断臂図」雪舟、あたりでしょうか。 「古きを尋ねて新しきを知る」なんていいますが、「何か現代美術展とか見てるのに、なかなか新しいものって出会えない!」なんてお嘆きの諸兄は、逆にこういうのを御覧になってみてはいかがか? あと一週間なので、ご興味のある方はお急ぎあれ!
で、この日はもう1件、フェルメール展を梯子したのですが…さすがに、見劣りしちゃいましたね、いろんな意味で。 フェルメール自身はともかく、他のバーターはほぼ素通りでした(汗 中世までの西洋画って大抵が写真の代用品みたいなもので、写真ができてしまうと存在価値が薄れてきちゃうんですかね。 その点、まだフェルメールとかって、何か目に見えない類のものまで描ききってる気がしますが。
とりあえず、ジャポニズム→近代絵画への流れ、みたいな息吹を、リアルに肌に感じた美術館梯子ではありました。
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