日記 〜さとみつ星・さとみつ男児のハト派日記〜


2008年8月11日(月)の日記


上野で美術館を梯子
少し前の話ですが、大雨の中、上野で美術館を梯子しました。

「対決・巨匠達の日本美術」展は、ジャイアンツのスタメンを思わせる日本美術界四番バッター尽くしの豪華なラインナップ!
巨匠二人を対決させる、的な宣伝効果もよかったのでしょうか、中日で平日にもかかわらず、非常に多くの人が見に来ていました。
個人的な感想を、企画に乗っかり気味の対決方式で!

■運慶VS快慶
運慶のまったり感に快慶の緻密さ、この二作だけでの私的勝敗はドロー。
運慶は東大寺の金剛力士像が子供の頃から大のお気に入りでした。
■雪舟VS雪村
国宝&重文が居並ぶ濃ゆいラインナップ。
教科書なんかでもおなじみの雪舟ですが、直に見るまで、こんなに凄い画家だとは思いませんでした…。もちろん雪舟の勝ち!
■永徳VS等伯
今回のお目当ては永徳の「檜図屏風」だったのですが、期待に違わず、戦国〜安土桃山の息吹を感じさせてくれる力量のある作品でした。
等伯の「松林図屏風」の展示が終わっていたのが残念。
エンタメ派永徳と心象派等伯、どっちもよかったのですが、趣味的に永徳の勝利。
■長次郎VS光悦
最初は圧倒的に長次郎かなあ、と思っていたのですが、見ているうちに光悦の凄みにもひきつけられていく感じ。
当時の茶器って何か大きめで飲みにくそう、そういえば大谷吉継と石田光成の逸話でお茶を回し飲みするシーンがあったなあ、なんて関係ないこと考えました。。
勝敗はドローにしておきます。
■宗達VS光琳
「風神雷神図屏風」対決が有名なお二方ですが、今回は最終週のみの展示だそうで見れませんでした(涙)
個人的には以前、京都の美術館で見たのですが、当時「上手いのは光琳、好きなのは宗達」とか思った気がします。
今回の展示作を見たイメージではドローかなあ。
■仁清VS乾山
書画陶対決。どれもこれもがキュートで美しく、お家に一個欲しくなってしまいます。
繊細な仁清にダイナミックな乾山、どっちも良いけど…個人的にはやっぱ乾山がお好み。
■円空VS木喰
仏像対決第二段ですが、ここに来ると、もはや芸術と宗教の対決というか…。
「仏像は神仏を表すためのものだ」という大前提にたてば、勝者は間違いなく円空、という事になるでしょう。
■大雅VS蕪村
引きの美学、という感じでしょうか。
「わかんなくもないけど、趣味じゃないなあ…」と思ってみてたら、蕪村の「鳶鴉図」にはちょっとやられてしまいました。上手い…。
というわけで、蕪村に一票。
■若冲VS蕭白
日本美術界のキ○ガイ対決!
恥ずかしながら蕭白のことをあまり存じなくて、若冲に並ぶ狂気の画家がいるものかなあ、なんて思ってたのですが、見事にいらっしゃいました(笑
若冲の「仙人掌群鶏図襖」、印刷などで見るとあまりのディティールに鶏が止まって見えるのですが、実物を見るとむしろ動き出しそうな生命感にあふれています。
蕭白の「唐獅子図」は圧巻!素晴らしいの一言!あまりに甲乙つけがたいのですが…あえて選ぶなら蕭白でしょうか。
■応挙VS芦雪
大御所二人が虎の画で対決。おそらく当時はリアルトラが見れなかったんでしょうね。
精密なだけに、見れば見るほど「猫を見て描いたでしょ!」感が拭えない応挙様、どうせ見れないなら勢いで!の芦雪さん。
個人的には、水音が聞こえてきそうな「保津川図屏風」、なんとも生々しい「山姥図額」が素敵でした。
甲乙つけがたし、高レベルなドローということで。
■歌麿VS写楽
これまでは圧倒的に写楽の方が好きだったのですが、いざ実物を見てみると、歌麿の作品の繊細さが写真や印刷には写ってなかったんだ、という事が良くわかりました。
デザインにインパクトのある写楽の方が潰れにくいんですねー。
写楽の、女形をあくまで女装した男、として描いちゃうセンスは、ちょっと他人と思えないところがあります。
今回は江戸時代の萌将軍、歌麿に一票。
■鉄斎VS大観
現代日本画になってくると、個人的にはちょっと興味が薄れてきちゃいます。
大観「雲中富士図屏風」は…ぶっちゃけ、詐欺ですね(笑)
鉄斎の「富士山図屏風」は、日本昔話っぽいです。日本昔話の方が真似てるんでしょうが。
とか言いながら勝ち負けをつけるとなると、大観を勝ちって言っちゃうオレがいます…。


お腹はいっぱいだけど胸焼けする感じはない、なかなかよい展覧会だったと思います。
個人的ベストファイブを選ぶとすれば「四季花鳥図屏風」雪舟、「檜図屏風」狩野永徳、「唐獅子図」曽我蕭白、「鳶鴉図」与謝蕪村、「慧可断臂図」雪舟、あたりでしょうか。
「古きを尋ねて新しきを知る」なんていいますが、「何か現代美術展とか見てるのに、なかなか新しいものって出会えない!」なんてお嘆きの諸兄は、逆にこういうのを御覧になってみてはいかがか?
あと一週間なので、ご興味のある方はお急ぎあれ!

で、この日はもう1件、フェルメール展を梯子したのですが…さすがに、見劣りしちゃいましたね、いろんな意味で。
フェルメール自身はともかく、他のバーターはほぼ素通りでした(汗
中世までの西洋画って大抵が写真の代用品みたいなもので、写真ができてしまうと存在価値が薄れてきちゃうんですかね。
その点、まだフェルメールとかって、何か目に見えない類のものまで描ききってる気がしますが。

とりあえず、ジャポニズム→近代絵画への流れ、みたいな息吹を、リアルに肌に感じた美術館梯子ではありました。

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